この研究における実資金投入の前提条件と、家計管理基盤「Cash Cockpit」との関係を整理する。
Cash Cockpit とは
Cash Cockpit は、筆者が別途進めている家計・資金管理の基盤である。収支の把握、資金の区分(生活資金・予備資金・リスク許容資金)、および各区分の状態を一覧できるようにすることを目的としている。
CP_blog の文脈で重要なのは、Cash Cockpit が「リスクに晒してよい資金がいくらであるか」を機械的に答えられる状態、すなわち Stable な状態にあるかどうかである。
なぜ家計基盤が先なのか
自動売買の研究において、実資金の投入自体は目的ではない。しかし、仮に将来ごく少額の実資金検証を行うとしても、その前提として次が成立している必要がある。
- リスク資金の上限が定義されていること。「なんとなく余っている資金」ではなく、失っても生活・予備資金に影響しない金額として明示的に区分された資金であること。
- その上限が継続的に検証されていること。家計の状態は変化する。ある月に許容できた金額が、翌月も許容できるとは限らない。上限は一度決めて終わりではなく、家計データから継続的に導かれる必要がある。
- 損失の影響を即座に把握できること。リスク資金で損失が出た場合に、それが家計全体に対してどの程度の影響かを、その場で確認できること。
この3つはすべて、売買システム側ではなく家計管理側の機能である。Cash Cockpit が Stable でない状態での実資金投入は、上限のないリスクテイクと構造的に区別がつかない。
「Stable」の判定基準(案)
Cash Cockpit を Stable とみなす基準は、現時点では次のように考えている。今後の運用で修正する。
- 資金区分(生活・予備・リスク許容)が定義され、実際の口座残高と対応づけられている
- 収支の記録が一定期間(目安として3か月以上)欠落なく継続している
- リスク許容資金の算出手順が文書化されており、手作業の恣意が入らない
- 上記が破綻した場合(記録の欠落、区分の混在など)を検出できる
順序の整理
この研究の段階を、現時点では次の順序で考えている。
- テストネットでのシステム挙動検証(記事001)
- 停止条件の実装と発火試験(記事002)
- バックテストの精緻化と前提の文書化
- Cash Cockpit の Stable 化
- (すべて完了した場合にのみ検討)事前定義した上限内での少額実資金検証
重要なのは、1〜4 が完了しても 5 が自動的に始まるわけではない、という点である。5 に進むかどうか自体が、その時点での判断事項として残る。進まないという結論も、この研究にとっては正常な帰結である。
現時点の結論
実資金投入の可否を決めるのは、売買ロジックの検証結果ではなく、家計基盤の状態である。この順序を固定するために、本記事を研究方針の一部として記録しておく。